平井美鈴 フリーダイバー
フリーダイビングコンスタントウィズフィン競技(解説)にて2006年12月日本新記録となる-61mを達成。AIDA世界ランキング10位となる。競技歴はまだ数年にもかかわらず持ち前のガッツと集中力で記録を打ち立てた。グラフィックデザイナーであり主婦でありまたヨーガインストラクターの顔も持つマルチな才能の持ち主。
西村 では、フリーダイビングの魅力というのは、その危険をできるだけ回避しつつ大自然にチャレンジすること、ということなのですか?
平井 その通りです。もちろん隔絶された世界を体験できるのも魅力ですし、自分がどこまで潜れるのか・・潜るとこころとからだはどうなるのか・・という自分の中の好奇心もあります。フリーダイビング仲間とのコミュニケーションも魅力ですね。
西村 深い海に潜るという行為そのものが神秘的な、素晴らしい体験なのでしょうね。 外界から隔絶された世界というのは、いったいどんな感じなのですか?たとえば60mの海の世界って・・・
平井 海の中って宇宙のように思えるんです。
西村 宇宙・・・
平井 陸上とは全く異空間。
西村 青い海に包まれているという感じ?
平井 仲間というか人間は遥か遠くにいて、自分だけがポツンとそこに「浮いている」って感じでした。水圧はもの凄くてからだが押しつぶされるようでブルーも濃くて決して快適とはいかない場所なんですけど
西村 それが隔絶された世界なんですね
平井 そうですね。潜れば潜るほど自分という存在がいかに地球に対してちっぽけなのかと思い知らされて、たまに潜りながら寂しくなったりもするんですけど
西村 えーー?
平井 あとからジワジワとそれが「地球てすごいなぁ」という尊敬みたいなものに変わっていくのです。
西村 自力で宇宙空間にいけるならそれはすごいですよね!
平井 そう!そうなんです。宇宙空間を体験してるような感じが好き。それはフリーダイビング以外でも海ではいつも感じています。
西村 では仲間とのコミュニケーションが魅力というのは具体的には?
平井 まず練習や競技において仲間とコミュニケーションがうまくいっていると楽しいし、それはリラックスにつながります。リラックスはいいパフォーマンスにもつながるし、それがよい練習環境をつくります。そういう人と人とのつながりや練習や大会での出会いはとてもいいものですよ。その為にも各自が安全意識とスキルを持っている事がとても大切になってきますが。
西村 楽しさの中にも厳しさがある・・・その厳しさというのは自然への尊敬、つまり「海をなめんなよ!」みたいな?
平井 全くそのとおりですね。
その為にフリーダイビング以外にも海や天候や操船の知識も必要になってきます。安全な練習環境をチームワークでつくり出しているという感じで大変な事もありますが、そういう過程も楽しいですよ。
西村 フリーダイビングというと個人種目でチームワークなんていらないイメージですが、実はそうではないんですね。ちょっとびっくりしました。
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