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2010年12月14日

●ちゃんと、喜ぶ。

サロンには、いろんなお客さまが来てくだいますが、私が素晴らしいと思うのは、
毎月、あるいは月に数回、ある一定の長い時間をかけて
サロンに通ってきてくださるお客さま。どのお客さまも私にとっては
とても大事な方たちだけれども、そういった長いおつきあいができる方
というのは、その人の変容を一緒に経験することができるので、
ことさら思い入れも強くなりがちです。
(セラピストとしては、あまり思い入れが強すぎてもいけないのですけれども)


先日来てくださった方は、そういった毎月来てくださるお客さまだったのですが、
そのとき、とても印象深いことがありました。

その方は、私のサロンに来られる前、3、4年ほど前からずっと、自分自身を
真摯に見つめ、そして、大きなチャレンジと自己投資をし、そしていつの間にか、
以前のご自分では考えられなかったようなことを成し遂げていた、
という方でした。

わたしは取り柄なんて何にもない、ただの専業主婦で、子供と夫のとの関係性が
なかなかうまくいかなくて、そして病気にもかかり、どうしたらその状態から
脱却できるか、いろいろな方法を試し、そして実際に行動してこられていました。

モアナブルーに初めて来られたのは、確か今年に入ってからでしょうか、
いろいろなことが動き始め、でも、自分が思っているよりも速いスピードで
それが起こり始めてしまったため、ある種の戸惑いと恐れを持っているような
状態でした。


セッションを続けているうちに、その方はいろいろなことに気づき始めました。
自分が怖がっている、ということ。その恐れは、かなり根源的なものであって
他人に対する恐れというよりは、自分自身への信頼というところにあること、
具体的ないろいろな悩みの話もたくさん出ましたが、結局のところ、
自分のからだを含め、自分への信頼を無くしてしまっていて、
それをいかに取り戻すか、というところが、
ボディセラピーを通じて行うべきことのように思えました。


もちろん、それは他のいろいろなセッションやリーディングや
あれやこれやでもきっと同じことを言われていたでしょう。
けれど、からだからのアプローチは、頭で理解しがちな賢い人には、ぎゃふんと
しかいいようのない、強烈なブローを仕掛けてきます。
痛みやくすぐったさ、逃げる仕草、そのとき感じるあれこれ、
今というこの瞬間にフォーカスするしかない、逃げられない時間が
その人に新しい感覚と突き抜けるようななにか、を感じさせるのです。

moroiso06.jpg

今回の施術は、具体的にはからだの疲れを取り、特に背中と脚のむくみとゆがみを
改善させるようなものでしたが、終わったあとに私が感じたことは、
「達成感」というキーワード。
「いや〜よくやりました。がんばりましたね、おめでとう!」
みたいな感覚でした。

その方は、以前には考えられないようなことを、この秋、実現させていました。
自分の好きなことをやり、それで多少の収入も得、行きたい場所に行き、
そしてそのことで自分が家族を犠牲にはしていない、誰も悲しませたりしていない
と実感することができたのです。


それは、とてもとても凄いことです。
今までは、自分が楽しいことをするなんて、家族を放ったらかして何かを
するなんて考えられない。そんなことをしたら家族崩壊、
みんな大変なことになっちゃう、と思っていたのですから。

でも、やってみたら、そんなことなかった。
確かに少し家族に協力してもらわなくてはいけないことはあったけれども、
でもちゃんと喜んで協力してくれたし、自分自身もそれを引け目には
感じなかった。

これは自分自身に相当自信がないと、実はできないことです。
その方のからだは、まだもちろんやらなければならないところがたくさん
ありますが、でも、それでも以前のような、罪の意識を感じるような、
恐れとともに生きているような、そんな感覚はなくなっているように感じました。

なぜからだを触るとそんなことがわかるのか?
と言われても、私もよくわからないんですが、でもやはり、何かそう
皮膚や筋膜や、エネルギーがそう語りかけているのを感じます。
そして、その感覚をお客さまに伝えると、それはやはり間違っていないようです。

今までよくがんばってきましたね。本当に、よくやってこられたと思いますよ、
ちゃんとやったーって喜ばないと。
そんなお話をしてセッションは終わりました。

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ちなみに、その喜び方っていうのは、生半可なものではダメなんだそうです。
どれ位かっていうと、足が地に着いているようではダメで、
よくマラソンのゴールシーンなんかで、わーっと飛び上がって喜ぶ
そんなシーンがありますが、ああいう感じ。とにかく飛び上がって
全身で喜びを表現することが大事なのだそうです。

そうして全身で喜びを味わいつくしてこそ、次が見えてくる。
あのイチローもそうしている、と以前観たテレビで言っていました。
それほどまでに、ちゃんと喜ぶこと、お祝いすることって大事なんだな。
でも実際自分の生活を省みても、なかなかやらないよな、って思います。


普段、喜ぶことって、ものすごーいことをしでかさなければやっちゃいけない、
って思い込んでいることが多いと思います。なにかとてつもない努力をしなくちゃ
喜んじゃいけない、とか、自分で自分のハードルを高くしている。

でも、本当はそんなことなくて、幸せのハードルを低くすれば
生きてるだけでまるもうけ、全身でその喜びを感じることだって
本当はできるはず。来週死ぬってわかっていれば、今週一週間、生きている
だけで、本当に涙が出るほどうれしいことだったりします。

まあ、そこまで極端ではなくても、とにかく、ある地点で、
自分の歩いてきた道を振り返って、結構がんばってきたな、って思うことは
大事なことだと思います。

全然がんばってなかったなって思う人も、それでもなんだかんだいって
絶望せずに生き続けてきたことが凄い。からだはちゃんとそれに耐えてきた
わけだから。からだは本当にあらゆる忍耐を引き受けているのですから。
ぎっくり腰なんてのは、ガマンの限界、臨界点を超えた症状ですけれど、
そこまでは本当に黙って黙って一生懸命、ご主人様に仕えていますから。


たまにはからだをメンテナンスして、ちゃんとご褒美をあげてくださいね。
誰かに手をかけてもらうことも大事ですが、もちろんご自分でケアしても
ちゃんとからだは応えてくれますよ。

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