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2008年09月27日

●スタティック開始 〜エジプトよもやま話その4〜


スタティックが始まった。この競技でも申告した時間で競技順が決まる。が、コンスタントウエイトの場合はその申告通りの深度に達しない場合はペナルティだし、その深度以上行くことは許されないから非常にシビアに申告しなくてはいけないのだけれど、スタティックやダイナミックの場合は、申告よりも少ないとペナルティだが、申告時間や距離よりも多くてもペナルティとはならず、そのまま得点となるため、各チームいろいろと戦略を練ってくるところでもある。

特にスタティックはそばにコーチとして1人サポートでつくことができるのだが、その存在が他の競技よりも大きい。人によって息こらえを始めてから何分後にタッチや声かけをして欲しいかとか、カラダのどこかをホールドしてもらいたいだとか、いろいろと要望が多いし、何分位でどんなカラダのサインが来るかも人によって違ってくるから、いつまで粘って、いつから早く上がったほうがいいかを判断したり、顔を上げたらOKサインをするまでにしっかり声をかけるなど、お互いの連携も大事なのでできればいつも練習している仲間同士などのほうがよかったりする。

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そして、点数でいうと、コンスタントやダイナミックよりもこのスタティックでの点数がわりと稼ぎやすいので、団体戦では非常に大事な競技でもある。そして言うまでもないことだが、一人でもBO(ブラックアウト<失神)したら失格で0点になってしまう。また、あまり長い時間粘りすぎて、顔を上げてから手が震えてしまったりしてSP(サーフェースプロトコル<OKサインを出すまでの15秒以内の手順)失敗してしまったらこれまたレッドカードで0点なので、絶対安全なところで上がる作戦に出ていると思われる国も多かった。(そういう人は自己ベストよりも断然短い時間でさくっと上がってたりする)

しかしながら、コンスタントで失敗があった国などは、ここで挽回とばかりにスタティックで粘って、更にBOで失格、、、という国もあった。焦りが焦りを呼ぶというやつなのでしょう、、、。3種目そして3人での団体戦というのは、本当に気が抜けないのだ。

そして日本チーム。女子はみみずんこと平井選手が練習での自己ベストには届いていないものの、大会での公式ベスト記録に近い6分弱でホワイト。ここのところ調子が悪かったらしい北濱選手も無事ホワイト。そして、ずっとここ数年スタティックがスランプ気味でトラウマチックになっていたメグさんこと松元選手も4分後半でホワイトカード!だったはずが、、、、。

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昼間のプールはこんなかんじ

私はちょうどそのとき男子チームのエース龍ちゃんこと篠宮選手の競技直前の施術を終えたところだった。龍ちゃんが入水してウォーミングアップを始めてしばらくした頃に、北濱選手が顔色を変えて、「ちょっと、、、」と言いにきた。

その内容は、私たちの顔色も変えさせるのに十分な内容で、なんと4位につけている選手が、現在3位の日本チームにいちゃもんをつけてくるかも?というものだった。なんでも、松元選手のSPが不明瞭(I'mOKがきちんと言えてないのではないか)といってプロテスト(抗議)することを協議しているらしいのだ。

通常、プロテストというのは、自分の競技が終わってイエローカード(減点)やレッドカード(失格)を受けたけれども、その審判内容に納得がいかない場合に、競技終了後15分間それを抗議することができるというものなので、普通は自分の競技内容に対してプロテストするのだ。それを、今回の場合は他国の選手が「あれはどーなの?」といってプロテストしてくるわけで、もしそれで判定が覆った場合(審判団が再度ビデオを見返す)は、自分たちは何もせずにそれを受け入れなくてはならなくなるのだ。

ちなみにこのプロテストにはお金がかかり、今回は50ユーロ。で、判定が正しく覆されればお金は返金されるが、却下された場合は現金は戻ってこないという仕組みだ。
現在3位につけている日本女子チーム。やはりみんな注目していて、選手を自国のビデオで撮影してチェックもしているのだ。上位になるってこういうことなんだな、、、、注目されるってこういうことなんだ、と思った。

実は前日も、その日まで2位につけていたカナダチームの女子ひとりに対して、プロテストしたアメリカ人がいて、それがまた判定覆って失格になったもんだから、こわいね〜、、、なんて話していたところだったのだ。まさかその次の日にうちらがやられるとは、、、、。

そんな他人を陥れるようなせこい考えでメダルを取ってうれしいんか!!!!と怒り心頭、おいこらデンマーク!そういえば、ホテルで朝、「僕の分のオムレツも頼んどいてくれない?」とか言ってうちのチームメートにちゃっかり頼んで自分は並ばずにゲットしたのもデンマークの選手だった!とか、どーでもいいことすら腹立たしくなってくる(笑)。

競技が終わり、結果発表のあとプロテストタイムとなった。夜10時過ぎまで競技を終えた選手もみんな残って状況を見守る。
デンマークによるプロテストはやはり行われた。15分後判定が覆った場合は、プロテストのプロテスト、、というか、状況説明を審判団にする権利はあるらしい。ただしそれは選手またはコーチの2名まで。今回は松元選手本人はあまり覚えていないということで、コーチのみみずんと、通訳として北濱選手が付き添うというかたちで、もしレッドだったらどういう説明をするかを必死に考えていた、らしい。というのも、彼女の姿は少しの間私の視界からは見えなかったからだ。

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誰もいなくなった夜のプール

果たしてどうなるか、、、。
審判団が結果の紙をもってきた。結果は、、、、ホワイトのままだ!!!やったーーーー!!!
アイムオッケーのケーのあたりがちょっと小さく聞こえづらくて言えてないのでは?という抗議内容だったが、ビデオではきちんと言えているということでホワイトのままということになった。
結果が出るまではそれほど長い時間ではなかったけれど、大丈夫!と思っていてもやはり心配だしドキドキするものだ。こうしてとても長く熱い1日が終わったのだった。

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AIDA会長をマッサージするの図

ちなみに日本男子チームも順位を上げてきた。篠宮選手も濱崎選手ももうすこし行けたかも、、、というところで本人たちはとても悔しそうだったけれど、無事クリアにホワイトカードで上がってくることが団体戦では本当に何よりも大事なことだ。スタティックで一人でも失格が出た国はやはりかなり順位を下げている。個人戦の場合はダメもとで引っ張ることもできるけれど、団体戦の場合はその加減が本当に難しい。

そういうときにやはり専門の監督がいて戦略を練っている国というのは強いなあと思う。日本チームはそういう監督的立場の人はいないので、経験のある選手がその経験則をもとに作戦を練っていくような感じなので、意見がまとまればそれでよいけれどもしそうでなかった場合、そこらへんを調整することがなかなか難しいだろうなと思う。今回はみんなの意見が割れて困るっていうような事態にはならなかったけど、今後男女ともにメダル争いを常時していくチームとなっていくためには、そういう戦略を考えられる人材が本当は必要なんだろうな、と思った。

・・・と、私はボディメンテナンスサポートなので、実はそんなことまで考えなくてもいいはずなんだけどね!

ちなみにデンマーク選手団のいい感じのコーチの人が、あとで「僕は(プロテストすると言った選手に)やめたらって言ったんだけど、、ごめんね」ってプロテストのことを謝ってくれたので、みんなそれで水に流すことに☆

それにしても、フェアプレー精神でみんな仲良く、、、という気持ちが強かったので、すごくショッキングで強烈な事件だった。ホント毎日何が起こるかわからない落ち着かない毎日だったな・・・。

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ホワイトカードでよかったね・・・

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