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2008年10月09日

●ギオームのトークショーに行く

いや〜帰国してもう5日になろうとしているのに、どうもまだ体内時計が変な感じだ。夕方くらいからすんごく眠くなってしまう。昨日もギオームネリー(フリーダイビング深度競技現世界記録-113m保持者)のトークショーに行ってきたけど、行きの電車の中から眠い・・・。直前にコーヒー飲んで無理矢理目を覚まして行った。

アジアチャンプ篠宮選手との対談形式で行われたトークショーは、すごくよかった。エジプトでのワールドカップの話などは、その場にいた私にとっては、ふむふむなるほど、やっぱりフランスチームはそう考えていたのか、と納得することも多かった。

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その中で印象的だったのは、団体戦というのは、”チームスピリット”だという話だ。代表選手3人個人の記録がそれぞれよくても、チームとしてちゃんと成り立ってるかどうか、個々人がそれぞれ「オレは○○m潜るけんね!」といってバラバラに頑張るのではなくて、「チームのために(絶対失敗しない距離、時間)どこまでいけるか」ということが重要だと思うと言っていたことだ。

例として今回メダルを取れなかったニュージーランドチームの例を挙げていた。この国は最近ものすごく力をつけていて、下馬評ではNZチームは金メダル間違いないだろうといわれていた。それほど各選手の実力は素晴らしいものだ。しかし今回、まず第1種目のコンスタントウィズフィンで1人がBOで失格、そしてスタティックでもそれを挽回しようとしたのか、別のひとりが失格、、と結局メダル争いにはまったく絡むことがなかった。

ギオームは、このチームは、チームスピリットに少し欠けていたんじゃないか、と指摘した。それぞれバラバラに頑張っても団体戦では難しい、フォアザチーム精神で(とは言わなかったけど)いくと、結果的にいい成績につながる、という話をしたのだった。和を以て尊しとなす日本人の一般的な考え方にとても近いので、なるほどな〜と非常に納得。

実際フランス男子チームは、もともと3人個人の実力はすごいけど、団体戦ではあまり記録は出さない。自己ベストよりもかなり手前で確実にホワイトカードを決めてくる。
それが彼らの戦略でもある。そして、それが今回は功を奏して、他のチームがみんな失格なり減点をしてくれたおかげで(とギオームが言ったw)彼らは金メダルを獲得したのだった。

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右からふたりめがギオーム

「フリーダイビングは、とてもエコなスポーツだと思う。自然と対峙するのがとても好きだ」という話もとても印象的だった。確かに、海にちゃぽんと入ってロープをおろして、ロープ沿いにサクッと潜って戻ってくるだけの話なので、一切自然を傷つけることがない。それでいて、深度が下がると非常に冒険的な要素が出てくるほど、チャレンジングなスポーツでもある。

彼は、海で潜るとき裸眼で潜るらしい。ゴーグルもマスクもつけない。ということは、今自分が何mの位置にいるのか、まったくわからない、ダイビングコンピューターを見ないということだ。
また、人によっては今何mの位置にいる、と知らせるアラームをダイコンに仕掛ける選手もいるが、そういったものも一切使わないそうだ。

「なんでそんなことができるんですか?」と聞いた篠宮選手の質問に、機材に頼ろうとするのではなく、自分の感覚を大事にしたいと彼は答えた。今自分のカラダがどうなっているのか、肺がどのくらいスクイーズ(収縮)してるか、圧力をどのくらい感じているか、息はどのくらいもつか、足の疲労はどうか、というのをカラダの声を耳を澄まして聞いて、ごく小さな変化も感じるようにすれば、そしてその感覚をどんどん磨いていくことが自分にとって大切だと言っていた。

コンピューターのデータはもちろん大切なので、水から上がったらそれを見たりすることはあるけれど、水中で機材に頼るのは、もしダイコンが壊れてしまったらどうなる?自分の感覚よりも機械を頼ることになるのか?僕はそれは違うと思う。自らの感覚を信じたいのだ、と。

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ふーーーむ。深いな・・・。
自分のカラダの声を聞くこと。それは簡単なようでいて意外となかなかできないことだ。カラダが警報を発していても、無視しちゃうことも多い。
セラピストととしてボディに関わる私が、はじめて来店されたお客さまにいつも言うことがある。それは、私がカラダを(ほぐすなりして)変えるのではなく、マッサージすることによって、ご自身のカラダの声を聞いて、カラダが発しているメッセージを聞いてください、ということだ。

実際、ボディセラピーを受けると、カラダのあちこちが、痛い、、とかくすぐったい、とか「そこはさわるな〜」とか「右はいいけど左はしんどい」とかいろいろなことがわかる。自分では気づかなかったカラダが発しているメッセージだ。また、カラダからのメッセージによって、いろいろな他の感情的、精神的な気づきにつながったりもする。

自分のカラダといかに真摯に向き合うか、が、やはり世界記録保持者にとっても大事なのだな、ということを知って、なんだかとてもうれしくなった。
私がやっているボディセラピーは、その気づきを手助けすることが第一の目的だ。
そこで気づいて、そして正しい方向へ戻してあげる手助けをするのだ。それは筋肉をほぐすことだったり、神経系の乱れを正すことだったり、脳脊髄液の流れを整えることだったり、といろいろな方法があるけれど、最終的には、受け手側がいかにしっかりそれに向き合えるか、にかかっているとも思う。

自分としっかり向き合い、カラダの声を聞いて、そしてそれを変化させようと考える人は、施術の効果が非常に高い。セラピストがいくらがんばっても、他力本願ではなかなか効果はでない。
でも、自分自身と向き合うというのは、結構キツいことも多いから、人は避けたくなったりしがちだ。わざわざ今まで見ないようにしていたところに目を向けることでもあるから。

だけど、そこを見ないままふたをしていては、次のステップには進めないのだ。そのステップというのは、人によって、記録であったり、からだの使い方だったり、人生のあり方だったりする。

そんなことを感じた、とても有意義なトークショーでした。その後の飲みでも隣に座って一緒にごはん食べましたが、レバ刺しもモツ鍋もミミガーも美味しいといって食べるナイスガイでした☆彼女もフリーダイバーでいつも一緒にいてかわいーんだよね〜。

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魚の下にフリーダイバーたちが!

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