ボディセラピストの毎日

時代的にスキーが激流行した頃、私はちょうど大学生だった。映画「私をスキーに連れてって」前後のこと、バブル真っ盛り。当時おつきあいしていた人がスキー好きだったこともあり、夜行の格安バスツアーなんかを使って白馬や志賀高原などによく行っていた。本格的にスキーをやったとまでは言わないまでも、スキー場近くのホテルでバイトをしたり、お金を貯めて初めて行った海外旅行がカナダのウィスラーへのスキーだったり、スキーと私は常に身近なものだった。

社会人になり彼とも別れ、生活が変わるとともに、自然とスキーが縁遠くなった。また、それだけではなく、一度海外のスキーを体験してしまったために、日本のスキー場とスキー文化があまり好きじゃなくなってしまった、というのもあった。

日本での安全なゲレンデスキーと海外で体験したバックカントリー的スキーは、言うならばシュノーケリングとフリーダイビングのような違いがある。どちらも楽しいけれど、より自然に対峙し、深いところに入り込むことができるのがカナダでのスキー体験だった。

日本でももちろん山スキーなどをすれば、そういう経験はできるだろう。けれども、私がウィスラーで経験したゲレンデなのに山スキーみたいなバックカントリーな体験（安全は確保できているけれど、ちょっぴり冒険的要素がある）は、安全上の問題なのか、なかなか日本では体験できないのだ。

ブラッコム（ウィスラーに隣接する山）スキー場に7th Heavenというところがある。夏でも雪が残る氷河地帯だ。その山頂から少しだけ上って、スキー場の裏側に知る人ぞ知るルートというのがあって、15年以上前に私はそこを滑ったことを今もよく覚えている。その場所のことを思うと感動で今でも涙が出そうになるほど、ちょっと神がかったような、、、そんな場所、まさに天国のようなところだ。

話しているうちにどんどんいろいろな思い出が湧きあがる。
そうか、私、実は本当は今でもスキーが大好きなんだな・・・。ずっと忘れていたけれど、ホントはずっとそういう思いを持ち続けていたんだ。

それは新鮮な驚きだった。スキーのことはなんとなくずっともやの中に隠れていたような、過去の記憶としてだけ残っていると思っていたからだ。