ボディセラピストの毎日

「海は鏡で自分が謙虚な気持ちでいると、海も潜ることを許してくれる。自分が傲慢だったら、海は受け入れてくれない」というようなことを彼は番組の中で語っていた。本当にそうだと思う。私はほとんど潜れないに等しいので、深海に挑む恐怖感や覚悟みたいなものはそれほど強くないけれど、世界選手権をはじめ、目の前でトップフリーダイバーが深度50m、70m、100mと挑戦する姿を見て、特に海の深度競技は、「やっぱりスポーツはメンタルが強くないと」という以上の深い自然への尊敬や自分の内側との対話が必要だし、またとても重要なスポーツなのだなと強く感じている。

「深度が進むにつれて、死の世界に近づく」ということも彼は語っていた。海の色がどんどんクリアなブルーからグランブルー、深い蒼、そして暗闇になっていく。深度100m以上を素潜りでフィンだけで行って還って来ているのは今もまだ世界で十数人。宇宙で月面着陸した人よりも少ない人数なのだそうだ。

フリーダイビングというのは息を止めたまま大深度へ潜っていく競技（コンスタント）がやはり一番の花形だと思うのだけれども、その世界というのは、本当に「生きること、死ぬこと」ということを強く感じさせる世界でもある。無酸素登山と同じように、そこでは死は常に身近なものだ。息を止めたまま、酸素がないまま人は長く生きることはできない。その極限の世界だけに許される美しさがそこにはあるように思う。

もちろん練習には最善細心の注意を払い、必ずセーフティを確保した上で、複数人でトレーニングするので、毎回命の危険を感じるわけではない。むしろ単独で勝手にそこらの磯で素潜りするほうがよっぽどキケンだったりする。死亡事故が起こるのはだいたいそういう場合だ。

それでもやはり、深度競技に挑戦する人を見るたびに、どこかで毎回「無事に還ってきてほしい」という祈りに近い気持ちが湧き起こる。「死」に近いからこそ「生」の喜びをものすごく感じるともいえるのかもしれない。私がフリーダイビングに惹かれる気持ちの中には「生きてる実感がそこにある」ということも含まれるのだろうと思う。

2008エジプトフリーダイビング世界選手権にて

Anyway,そんな素敵な番組でしたが、もし見逃した！という方、おられましたらさすがＮＨＫ、再放送があります！！BS2ですが6月10日（水）3:00AMにあるようですので、是非よかったら見てみてくださいね。また、彼が発起人となってONE OCEAN というプロジェクトも立ち上がりました。世界の海はつながっている〜うみはひとつ〜というコンセプトで、自然環境、国レベルのコミュニケーションをもっと図ろうという大きなプロジェクトになっていきそうです。

篠宮選手がこの番組に出演して、自分の小さな夢だった「自分の友達が情熱大陸に出る」というのがひとつ叶った（笑）ともいえる。番組は違うけど、まあ似たようなもんだし。

まわりの友人は最近そうやってどんどんと活動範囲を広げていって、どんどん新しい世界に出ていって結果を出していて、自分はこんなんでいいのか？？って焦ったり惑ったりすることもあるけれど、自分は自分のペースでしか動くことはできないし、せめて、これからもそんな仲間と切磋琢磨しあえたり、協力したり応援するわたしでいたいなとは思う。ガンバロー！！

ナゾのシイタケマン